E.R. – Qen Sew ቅን ሰዉ EP


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タンゴから民族音楽、ロックンロールやレゲエなど様々なポップミュージックが伝播していく中でそれぞれ「翻訳されて失うもの」のは当然なんだけど、そんな中、勘違いも含めて独自に根付いていくものもあるようにハウスミュージックも色んな国、地域から声を上げていってる。
エチオピア出身のMikael SeifuがワシントンDCで主宰するレーベル1432R(このレーベルはどのレコードも興味深い)から2015年リリースのこの12インチ、E.R.(Ethiopian Records)は個人名でなくてレーベル周辺のエチオピアのアーティストによるユニットで1432RからのデヴューEP。
Burialにも通ずるUKガラ―ジの中、エチオピア伝統音楽を通過させたブレイクビーツという摩訶不思議なサウンドは正に、翻訳されて失われつつ他にない何かを獲得し独自の進化を遂げたものになっているA1。同じワシントンDCのFuture Timesの中心的ユニットBeatutiful Swimmersによる同曲のリミックスはよりキック感のある仕上がり。90年代くらいあった民族音楽にシンセの和音がビューって入るような駄目な融合ではなく、どこを聴いてもエチオピアなんだけどコード感のある四つ打ちでハウスはどこまでも自分たちの打ち出すサウンドなB1。エチオピアのヒップホップグループZion RebelsをフィーチャーしたB2もへんてこりんで聴き物。

Track List
A1: Qen Sew (For My Father)
A2: Qen Sew (For My Father) (Beautiful Swimmers Head Up Mix)
B1: Feluha
B2: Lela Lela feat. Zion Rebels)

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Harmonious Thelonios / The Malag EP

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1997年から Antonelli Electr名義でミニマルテクノ、ダブを通過したエレクトロな音源リリースから活動を始めたドイツはデュッセルドルフのStefan Schwanderが2008年から始めたソロユニット、2013年の12インチでベルギーのmeakusmaからくち初リリース。
The Durian Brothersもらメンバーでもあるステェファンの近年のメイン活動がハーモニウス・セロニウス
パーカッションやスティールパンを多用したポリリズム、アフリカへの情景を落とし込んだミニマルテクノが特徴、そこにSteve ReichやTony Conradといった70年代のミニマル・ミュージックからの影響から出される他で聴かれないような独自性を打ち出している。
A2での映像的なサウンドはウィリアム・フリードキンの『恐怖の報酬』のサントラ(Tangerine Dreamが担当)を彷彿とさせるものがあり秀逸。初めて外部から人を入れてのリミックス、ケニアとイギリスを跨ぐOwniny Sigoma Bandでの活躍するElmore Juddとソングライターで関わるRowan Parkによるコーラスも入った、よりアフリカン・ポリリズムなB1も素晴らしい。どのレコードも素晴らしいが先ずは2013年のこれを。

Track List
A1: Ausgelieferte Muziek
A2: The Grasshopper Was The Witness
B1: The Grasshopper Was The Witness (Elmore Judd & Rown Park Remix)
B2: Don’t Lose Your Head
B3: The Malag

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Underground Resistance / The Final Frontier

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90年代半ば週に二回は西心斎橋に出てレコ堀りな日々だった。
93年頃からは特にテクノ、それもデトロイト物を熱心に見に行ってた、その中心にあったのがbaobab。
レゲエの7インチとデトロイトテクノはバオバブレコードでほんとにお世話になった。
URのレコを初めて買ったのもバオバブで、それが91年リリースのUR003,The Final Frontierなのを覚えてる。
ローランドTR-303によるアシッド・エレクトロは正にブラック・マシーン・ミュージック。

Track List
A1: The Final Frontier
A2: Entering Quadrant Five
B1: Base Camp Alpha 808

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DOP / God Bless The Child EP

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2007年から多岐のレーベルに渡って大活躍だったDOP、ドイツのMilnor Modernから2008年にリリースの7枚目のEP。
パーカッションや弦がアフリカン・チャントの入るミニマル・ハウスのA1。よりフロアを意識したRobag Wruhmeによるリミックスはもはや別の曲といってもいい仕上がりでこれがまたなんともたまらない出来なA2。
エレピの和音からサックスのフレーズに導かれジョナサンの歌が乗るジャズファンクは一聴してDOPと分かる個性を確立してるのが分かるBサイド3曲も素晴らしい。

Track List
A1: Foly sample
A2: Foly (Robag Wruhme “B-Schnitte” Remix)
B1: Cum With Me sample
B2: Zero Zero
B3: God Bless The Child

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DOP / Between The Blues EP

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Damien Vandesande,Clement ZemtsovにヴォーカルのJonathan Illelによるフランスのトリオ、2007年2枚目のEPでCircus Companyからの一枚目。僕が知ったのもこれが最初(もう13年になるのか….)
テックハウスが基調なんだけど曲の構造がパーカシブなエレクトリック・ジャズなA1。レーベルメイト、ハウスデュオのNozeをフィーチャーしたB1。ジョナサンのヴォーカルと共にこれぞDOPの魅力が詰まってるといってもいいダウンテンポなタイトルトラックB2。

Track List
A1: Allo Boom Boom
B1: Dopamen (C6h3oh2ch2ch2nh2) feat. Noze
B2: The Between Blues

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Brigitte Fontaine & Khan / Fine Mouche Remixes

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90年代から活動しパリのKituneやフランクフルトのPlayhouseからリリースしていたCaptain ComatoseのCan OralのソロプロジェクトKhanがなんと60年代からジャズ。シャンソンからエスニックと越境する真に前衛でありオルタナティブそのものなBrigitte Fontaine(共演はArt Ensemble Of Chcago、Aleski、Gtan Project、Sonic Youth、Sterolab,etc)と組んでI’m Singleから2009年に出した12インチ。
オリジナルのタンゴ(A2)をマリンバのフレーズとキックで仕立てたdOP。
後半のパーカッションがポイントのテックハウスに仕上げたTobii、どちらも聴き応えあり。

Track List
A1: Fine Mouche (Dop Remix)
A2: Fine Mouche (Original Piano Tango Version)
B1: Fine Mouche (Tobii Remix)

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M500 & 3MB / Jazz Is The Teacher

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ヒットチャートから音楽を聴いてきて80年代後半からクラブの面白さを知り、初の海外がイギリスでフェスも体験しアシッドハウス通過して色んなハウスのパーティーに行っていた1993年。僕にとってはまだテクノがどんなものかそれほど実感、体感もなかった時期だった。そんな時期にレコ屋で見かけた12インチがこれ。Ornette Colemanからジャズにはまってもいたのでタイトルの”Jazz Is The Teacher”にはそりゃ魅かれる。(オーネット門下生のギタリストJames Blood Ulmerの曲に”Jazz Is The Teacher,Funk Is The Preacher”があって20代前半特によく聴いていたから) これがデトロイトテクノの創始者と言っていいJuan Atkinsとの出会いでデトロイトテクノを通じて道が開けていった。
1993年のホアンはCybotron解散後、Model500名義で活動し初のアルバム「Sinic Sunset」 を出す前年。
このレコードはホアンのModel500とThomas Fehlmann & Moritz von Oswaldのユニット3MB(2MBってのもあった)による共作にしてデトロイトとベルリンの幸福な邂逅。

ファンクネスとロマンティズムの詰まったクラシック。

Track List
A1 : Jazz Is The Teacher
B1 : Cosmic Courier
B2 : Bassmental

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Jamie Principle / You’re All I’ve Waited 4

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1985年Frankie Knucklesと組んでデヴュー。そこから、そのファルセット・ヴォイスでフロアを沸かしてきたJamie Principleがほぼ同時期に活動を始めたDJ、作曲家、プロデューサーとしてキャリアをメジャーシーンでもキャリアを重ねていくこととなるSteve “Silk” Hurleyと組んで出した現在のところ唯一のアルバム「The Midnighr Hour」(超名盤!!!)からのリードシングル。(1991)
ニューウェーブを通過したエレクトロサウンドはPrinceとも地平を同じくしている。
2000年代以降、Hercules And Love Affairにも繋がるビザ―ル・ハウスで僕にとってもハウスミュージックを最も体現している一人でありヴォーカリストとしても作曲家としてもそう。
2000年代以降リリースペースは減ってるけど2018年にはGorillazのアルバムでヴォーカル参加したしもっと歌声を聴きたい。

Traclk List
A 1:You’re All I’ve Waited 4 (Hurley’s 12″ House Mix)
A 2: You’re All I’ve Waited 4 (Maurice Mix)
A 3: You’re All I’ve Waited 4 (Urban Mix)
B 1:You’re All I’ve Waited 4 (E-Smoove’s Late Nite Mix)
B 2: You’re All I’ve Waited 4 (Hurley’s Dubstramental)
B 3: You’re All I’ve Waited 4 (Maurice DuB’)

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Tim Toh / Join The Resistance (Part III)


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ドイツはシュトゥットガルトのレーベルPhilpotレコード(SOULPHICTION aka Michel Baumann主宰)からデヴューしたTim Tohが2008年から限定500枚で始めたJoin The Resistanceの三枚目(2009)
パーカッションからうねるベースライン~オルガンからエレピのリフレインと展開していき2:20くらいから入るスネアとハットが熱量をじんわり加速させいくディープハウス、Side Aの”Six”
打音と生ピアノのメロディでしっとりと始まりやがてビートを刻みだすSide B “Seven”
どちらもWeather Reportやジャズロック それもSoft Machineそれも「Sex」や「Seven」時代のもの(タイトルも意識しているのかも)を感じる。
後にジャズやワールドミュージックを取り込んでいくTim Tohの原点がこのJoin The Resistance三部作にあるのを再確認。

Track List
A : Sex
B : Seven

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Compost Allstars(feat.Robert Owens) / Good Day


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1994年からミュンヘンで良質なクラブ・ジャズ、ダンス・トラックをリリースを続けるレーベルCompostの20周年にしてカタログ500番はオーナーのMichael Reinboth始めChristian Prommer、Roland Appel、Jan Krauseというレーベル・オールスターズによるミニマムなジャーマン・エレクトロチューンに歌声を乗せるはシカゴ・ハウスの黄金時代を作ったRobert Owens!! 最高過ぎる。

Track List
A1: Good Day (SHOW-B Vocal Dub)
A2: Good Day (Original)
B1: Good Day (CP’s Dub)
B2: Good Day (SHOW-B Instrumental)

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