A.J. Pero

Twisted Sisterのドラマー、A.J. Peroの訃報が・・・ もう40歳も越すとガキだった頃に夢中だったミュージシャンや作家等の死は、自らの経年と共に必然だと思うようになってはいたが、A.J.はまだ55歳なのか。

バンドのFacebookやヴォーカリスト、Dee Sniderのツイート等からは、ツアー中(A.J.が参加してるTwisted Sisterとは別のバンド)のバスでの心臓発作とのこと。

Altavista Showでは、ほぼ、というか一度もかけたことがなかったし、HR/HMの楽曲は数えるほどしか紹介してこなかったが、実は大好き。とはいえ、ラジオのコンセプトからも、越境し時代性とも離れて聴けるという音楽の中で交じり合うというのとはちと違う、こともあり、あくまで車中等、私的な空間で独り、ないし同じく好む友人達と、たまに聴くというもの。

80年代のヒットチャートから音楽にのめり込んでいった者の一人として、ラジオから流れてくる、エレクトロなポップミュージックからソウル、ファンク、ディスコ、ニューウェーブに混じって、何の隔たりもなく聴いていた。その後チャートを経由しなくても自分の足でレコード屋で回るようになって、なんやかんやで現在に至る、ではあるが80年代初頭に小学生~中学生だった身としてはラジオとFM情報誌だけがほとんどの頼りだった。

80年代初頭からのニューウェーブ・オブ・ブリティッシュ・へヴィ・メタルからアメリカに飛び火シテのLAメタルと、チャートも含めて、とても勢いのあったHR/HM。 Twisted Sisterはメイクを施したレスラーをも思わせる体格のメンバー達5人。1972年、フランス系のJay Jay Frrench(guitar)によってニューヨークで設立。メンバーチェンジを繰り返し、73年には高校の同級生のEddie Ojeda(guitar)が参加(この2人はこの後もずっとメンバーとして変わらず) ころ頃はNew York DollsやVelvet Underground、Mott The Hoople等のカヴァーバンドに近かったようで、77年にヴォーカリストのDee Sniderが参加し、ディーが楽曲を手掛けるようになって主導権を握るようになってからライヴと曲製作を磨いていったと想像出来る。メンバーチェンジは頻々だったようで、ドラマーはまだA.J.Peroではない、べーシストにNYのガレージバンドThe DictatorsからMark “The Animal” Mendozaが加入し、ようやくインティーレーベルSecretレコードからデヴューEPの「Ruff Cuts」(実績のあるプロデューサー、Eddie Kramerを迎えてエレクトリック・レディ・スタジオで録音)リリース。ドラマーがなかなか固定出来ないバンドだったようで、クレジットにはマーク、エディー、ディー、ジェイジェイの四人だけでドラマーは録音のみのサポート扱いになっている。この短期間で、ドラマーにA.J.Peroが参加し、矢継ぎ早にファーストアルバム「Under The Blade」をリリース。

このアルバムではディーとマークがプロデュースでクレジットされていて、それだけマークの加入がバンドとして大きいのを物語っている。で、ここでのA.J.の演奏を「Ruff Cuts」のものと聴き比べてみるとわかるが、明らかにA.J.の方がダイナミックであることがわかる。ここでようやくバンドも安定期に入り、ディー作曲のへヴィでありながらキャッチーな楽曲を数多くのライヴで演奏能力を磨き、技術の確かなメンバーが揃ったところでのHR/HMがセールス的にも注目されてきたタイミングでのメジャーレーベル、アトランティックと契約、1983年にセカンドアルバム「You Can’t Stop Rock’N'Roll」をリリース。この時期は地元NYや東海岸以外ではイギリスの方での人気の方が先行してたの記事を読んだ記憶もある(ちと曖昧)

そして1984年サードアルバム「Stay Hungry」からのリードシングル「We’re Not Gonna take It」が、ストーリー仕立てのMVと相まって大ヒット。僕も彼らを知ったのはここから。タイミングも良かったんだろうが、楽曲が粒ぞろいのこのアルバムは最高傑作だと思う。この辺りの楽曲で聴けるA.J.のダイナミックなドラム演奏と、マークのベースがバンドを推進させているハートの部分であるのがよくわかる。

バンドはこの後、楽曲の質もセールス的にも失速していき、1986年にはA.J.Peroは脱退。僕も次第に彼らのレコードに針を落とすことが減っていくとともに、HR/HMだけでなく、ロックというものから距離を置くようになり、よりヒットチャートと無縁な音楽が中心になっていくのは、また別の話。

1988年の解散後、90年代半ばから、ライヴ活動を再開し、現在でも活動中ではあるが、新曲のみの新作は未だ発表されていない。メンバーもそれぞれ様々に他の活動していたんだろう。

Twisted Sisterはケバケバしい、というかグロテスクなメイク、にこんなバンド名でバブルガムな印象を持たれているが、キャッチーでフックのあるメロディーと代表曲「We’re Not Gonna Take It」に現れているような、親や学校、社会といった”大人達”に対する抵抗する子供達、キッズに向けてだったり、フリークス、はみ出し者に向けて、自由で居ろよ、というメッセージは、僕にとっても、大袈裟ではあるが、ある種の救いでもあった。

カテゴリー: BLOG   パーマリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

Spam Protection by WP-SpamFree