林光と真田太平記

僕はほとんどテレビを観ない人で、それは幼少時から変わらないんだけど、10代半ばで、これだけは!と観ていたのが大河ドラマと同格に一年掛けて放送された『真田太平記』。

確か14歳のときに手に取った池波正太郎の本、それがドラマの原作となった文庫本。ドラマの放映が確か16歳くらいのときだったかな。原作はほんとに面白くて、実在した人物のみならず、著者が産み出した架空の人物との絡み、伝記物でよく語られる超人的な忍者とは違った、”草の者”という忍びと甲賀忍者との死闘。そして真田信幸(後に信之と改名)を主軸に置いたのも慧眼だった。現在まで何度も何度も繰り返して読んでいて全十二巻のうち、何冊か読みすぎてぼろぼろになったので買い直している。

初めて観た十代の頃から感じていたこと、先ずはオープニングのテーマ音楽がとても良くて、チェロによるリフレインとヴァイオリンによる二重奏が、どこか舞踏風でもある。作曲は2012年に亡くなった林光の手によるもの。どうしても音源が欲しくて色々探したけど、どうやらレコードにもCDにもなっておらず作品としてソフト化はされていない模様。で、ずっと耳に残ってはいたものの作曲家のことを気にしてなかった時期が続き、改めて林光を意識したのは、林光が音楽を担当した新藤兼人監督の映画『裸の島』を観たとき。 台詞のない映画ということもあり、映像と共に音楽がとても印象的だった。それ以来、色々調べて林光が映画音楽も多く手がけていることを知った。

先日、ケーブルTVの「時代劇専門チャンネル」で、偶然「真田太平記」を再放送しているのを観た。やはりオープニングのテーマ音楽が大変素晴らしい。

観た回はすでに39話目で、もうすでに大坂冬の陣も終わり東西和睦となり、真田幸村(草刈正雄)が兄、真田信之(渡瀬恒彦)と十五年ぶりに対面する回。このドラマは脚本もよく出来ている(なんせ十年掛けて全十二巻もある物語を45分、45話でまとめているのだから)ここと共に配役も実に妙で、徳川家康が中村梅之輔で秀忠が中村梅雀という親子を親子が演じるのもそうだし、脇を固める役者も良く、元宝塚の遥くららによるも草の者、お江も良かったし、兎に角、ちゃんと芝居が出来る役者達が揃っている。先の中村親子と共に、主役たる真田家、信之、幸村の父である真田昌幸演じる丹波哲郎がとても良い。で、観ているうちにいつしか、草刈、渡瀬両人とも、丹波哲郎に似てくるというのがなんともで、これも当初から考えての演出だと思われるが、40話に出てくる、兄弟対面の場面、原作には出てこない台詞がある。「兄上も、父上に似てまいりましたな」というもの。これがニヤついてしまうくらい実に似ている。しゃべり方や目の動き、手の仕草も。こんな演出はなかなか見られるものではないと思う。

久々に読み直すと共に、今年は信州と上州に行ってみようと思う。

カテゴリー: BLOG   パーマリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

Spam Protection by WP-SpamFree